トラック運送業の廃業手続きとその注意点

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・運送業を営んでいる父が急に亡くなってしまった
・運送業を経営しているが働き方改革をはじめとした新しい法整備への対処が難しい

このような理由で運送業の廃業を検討されている方に向けて、今回は運送業を廃業するまでの具体的な手続きとその時の注意点をご紹介していきたいと思います。

 

とはいえ、運送業を廃業するためには、トラックを処分したり駐車場を解約するだけではなく、複雑な法的書類の提出が必要です。

 

そのため、運送業の廃業を検討されている方は、一度運送業を売却することも視野に入れてみて下さい。

 

売却ならば廃業と違い、運送業を簡単に手放すことができますし、何よりも金銭的なメリットが大きいです。

 

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運送業の廃業件数の推移を表したグラフ

このグラフは、帝国データバンクが発表しているデータを用いてわたしが作成したグラフです。

 

このグラフは日本国内において廃業・休業届けが出された運輸・通信業の件数を表しています。少ない年でも年間400件以上の運輸・通信業が休廃業していることがお判り頂けるかと思います。

 

グラフを見てみると、その廃業件数は年々現象しているようにも見て取れるのですが、このグラフには通信業の廃業件数も含まれております。

 

ここから純粋にトラック運送業だけの廃業件数だけを見ることは出来ませんが、昨今の状況を鑑みるとその廃業件数は年々増加しているのではないでしょうか。

 

なぜ、運送業の廃業件数はこれほどまでに多いのでしょうか。

これにはおそらく、
・人件費や燃油費の上昇
・小口化による配送効率の悪化
・後継者不足

という3つの原因があるかと思います。

 

運送業界において人材は慢性的に不足しています。

そのため、ドライバーを雇う人件費は年々上げざるを得なくなり、それに追い討ちをかけるように燃油費も上層しています。

 

また、配送もますます小口化しており、配送効率、ひいては売り上げも業界全体的に減少してしまっています。

 

このように、昨今の運送業界は、経営のためのコストは年々上昇しているのにも関わらず、その売り上げは減少しているという非常に危機的な状況の中にいます。

 

そのため、このような状況でご子息に運送業を引き継ぐくらいであれば、自分の代で廃業してしまおうと決断する経営者の方が多いようです。

 

 

それでは、次は具体的に運送業を廃業するまでの手順をご説明しますね。

なお、ここでは運送業の廃業に関する法的書類の厳密な書き方ではなく、廃業に至るまでの大まかな流れをご紹介したいと思います。

 

 

運送業を廃業するまでの具体的な3つの手続き

廃業手続きを取る前に、まずあなたが経営されている運送業の資産と負債を計算してみて下さい。

 

回収予定の売掛け金や、売却して資産化できる運送用トラックや駐車場などを全て計算して、資産の方が負債よりも大きければ倒産ではなく廃業を選択することができます。

 

そして廃業手続きは

①廃業スケジュールを綿密に立てる
②運送用トラックなどの資産と負債の整理
③解散確定申告と清算確定申告をおこなう

といった3つのステップで進めていきましょう。

 

①廃業スケジュールを綿密に立てる

会社を廃業するためには、トラックのような会社保有の資産を処分したり、駐車場のような会社が契約しているものを全て解約する必要があります。

 

そのため、契約を解除したり資産を処分するタイミングを間違ってしまうと、金銭的な不利益を被ってしまう可能性があります。

 

例えば、まだ運送業を経営しているのにも関わらず、駐車場の契約を早く打ち切ってしまったので、事業運営ができなくなってしまった。

 

という状況も起こり得ますし、

 

逆に、廃業はいつでも出来る状況なのにも関わらず、契約している駐車場が中々解約できないので、不必要なお金を毎月支払うことになってしまった。

 

などと、廃業スケジュールをきちんと立てないと、このような不利益を被ってしまう可能性があります。

そのため、廃業を決めたら、まずは廃業スケジュールを綿密に立てましょう。

 

②運送用トラックなどの資産と負債の整理

廃業スケジュールを綿密に立てたら、次は資産と負債の整理を行います。

運送業に特有の資産と負債は以下のようなものが上げられます。

 

(1)運送トラック
運送業を営んでいる会社の代表的な資産といえば、この運送用トラックです。

運送用トラックは、複数の買取業者に一括で見積もりをとってもらい、一番高い価格を提示した業者に売却するという方法が一般的です。

また、自社の社員が独立を希望していたら、その社員の方に売却しても良いでしょう。

 

(2)駐車場
駐車場を自社で保有している場合は売却、賃借している場合は解約しましょう。

先ほどもご説明しましたが、解約するタイミングを間違えると、事業を運営できなくなってしまったり余計なお金を支払う必要が出てきてしまうので、その解約タイミングには十分注意して下さい。

 

 

③解散確定申告と清算確定申告をおこなう

ここからは専門的な内容になってしまうため詳しくは述べませんが、廃業にあたっては解散確定申告と清算確定申告という2回の確定申告を行う必要があります。

解散確定申告とは、事業年度の開始日から解散日までの期間の確定申告のことなので、本質的には普段おこなっている確定申告と何ら変わりません。

 

一方、清算確定申告は資産と負債の整理を終え残余財産が確定した後に行う確定申告のことを指します。

このように、廃業のためにはこうした税務面の手続きも必須となってきます。

 

 

運送業の廃業には相当の手間がかかる

ここまで、簡略化して運送業廃業までの具体的な流れをお伝えしてきましたが、運送業を廃業するためには相当の手間がかかります。

今回ご説明したのは、運送業を廃業するための大まかな流れです。

 

実際に運送業を廃業しようと思うと、面倒で複雑な書類をミスなく記入する必要があります。

 

そして、廃業手続きが面倒に感じる方には、運送業を売却してしまうという方法がおすすめです。

 

うちの運送業は赤字だから売却できるはずがない…と思い込んでしまっている方も中には多いかもしれませんが、赤字の運送業でもきちんとした価格で売却することができますし、負債が資産を上回っていても場合によっては売却可能です。

 

廃業に比べて売却は圧倒的に楽な上金銭的なメリットも大きいです。

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