事業承継税制には「相続税・贈与税が100%猶予、あるいは免除される」といったメリットがあります。
かつては使いづらかったこの制度ですが、平成30年に特措措置が施行され改善し、後継者にとっては非常に有用な制度になりました。
しかし、この制度には数々のメリットがある一方で、注意しなければならない点がいくつかあります。
今回は事業承継税制を活用する際の注意点について解説していきます。
この記事の目次
事業承継税制の4つの注意点
注意点1:制度適用のための条件が厳しい
事業承継税制を適用する為には、会社・先代経営者・後継者がそれぞれ特定の条件を満たしている必要があります。贈与税・相続税に共通する条件は、以下の通りです。
- 会社の主な条件
- 中小企業であること ※中小企業の定義について、詳しくはこちら(中小企業庁:FAQ「中小企業の定義について」)をご確認ください
- 上場会社、風俗営業会社でないこと
- 従業員が1人以上であること
- 資産保有系会社(資産運用でたくさん稼いでいる会社)でないこと
- 先代経営者の主な条件
- 会社の代表者であったこと
- 経営者と経営者の親族で議決権の半分以上を保有していて、かつその中で最も多くの議決権を保有していたこと
- 後継者の主な条件
- 相続もしくは贈与された後に、後継者と後継者の親族で議決権の半分以上を保有していること
- 後継者が1人の場合、後継者の親族の中で最も多くの議決権を保有していること
- 後継者が2人または3人の場合、議決権の10%以上を保有し、他の後継者を除く後継者の親族の中で、最も多くの議決権を保有していること
さらに、制度適用から5年後以降も猶予を希望する場合は、以下の条件を満たさなければなりません。
- 相続・贈与後の主な条件
- 5年間、後継者が会社の代表者であること
- 5年間、後継者が筆頭株主であること
- 猶予対象株式を保有し続けること
このように制度の適用のために様々な条件が存在します。これらの条件がしっかり満たされているか、また満たしていけるかをしっかりと確認しなければなりません。
注意点2:先代より先に後継者が亡くなってしまうと適用できない
仮に先代よりも先に後継者の方がなくなってしまうと、後継者の子ども(先代の孫)に会社を引き渡すとき、相続税がかかってしまいます(猶予されていた贈与税はそのまま免除されます)。
亡くなってしまった後継者の子どもが20歳以上の場合は、再び事業承継税制の適用を受けて相続税を猶予すれば問題はありませんが、その子どもが成人していない場合、事業承継税制を適用することができません。
後継者の死というリスクはコントロールすることができません。
突如として支払いの義務が発生し「相続税が支払えない」という最悪の事態を避けるためには、定期保険への加入や、事前に先代に退職金を支払い、株価を下げておくといった対策をしておくことである程度対処できます。
注意点3:提出物が非常に多い
平成30年に始まった特例措置を適用するためには、「特例承継計画」を出さなければなりません。これに加えて、制度を適用後5年以内は、都道府県庁へ「年次報告書」を、税務署へ「継続届出書」を毎年提出しなければなりません。
また、従業員数が5年間平均で8割を下回った場合は、その理由を記載した書類を認定支援機関に提出しなければなりません。
どの書類も提出を忘れてしまうと、最悪の場合事業承継税制の適用を受けることができなくなりますので注意が必要です。
このように提出する書類が多く、書類の作成に時間を割かなければならないので注意してください。
注意点4:利子を払わなければならない場合もある
相続税・贈与税の猶予中に猶予が取り消された場合、当然その分の税金を収めなければなりません。さらに事由によっては、猶予されていた税金だけでなくその利子(0.9%)も含めて返済しなければなりません。
猶予が取り消される主な事由としては以下が挙げられます(申告期限から5年以内と以降で多少条件が異なっています)。
- 申告期限後5年以内
- 猶予対象株式を保有しなくなった場合
- 後継者が会社の代表権を有しなくなった場合
- 資産管理会社に該当した場合
- 「継続届出書」を提出しなかった場合
- 申告期限後5年以降
- 猶予対象株式を保有しなくなった場合(保有しなくなった分だけ税金を納める)
- 資産管理会社に該当した場合
- 「継続届出書」を提出しなかった場合
意図せず猶予が取り消しになり、払えなくなるという最悪の事態に陥らないよう十分に注意しましょう。
おわりに
この記事では、事業承継税制の注意点について解説してきました。
事業承継税制は多くのメリットがある反面、条件が難解であったり、手続きが煩雑であったりして扱いづらいという側面もあるので注意してください。
事業承継税制は、親族や従業員に事業を承継する際に利用される制度ですが、事業承継の方法には、その他にもM&Aによる第三者への承継という方法があります。会社の株式を贈与するのではなく、売却するという方法です。
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