・引退をしたいが後継者が見つからないので、長い間続けてきた不動産業を廃業したい
・お客さんが減ってきたので、早いうちに不動産業を廃業しておきたい
このような理由で不動産業の廃業を検討されている方に向けて、この記事では不動産業を廃業するまでの具体的な手続きとその時の注意点をご紹介していきたいと思います。
とはいえ、不動産業を廃業するためには各種協会の退会や様々な法的手続きが必要となり、かなりの時間がかかります。
そのため、不動産業の廃業を検討されている方は、一度不動産業を運営会社ごと売却することも視野に入れてみて下さい。
売却ならば廃業と違い、不動産業を簡単に手放すことができますし、何よりも金銭的なメリットが大きいです。
わたしたち会社即売.comでは、会社売却に関する相談を無料で承っているので、お気軽にお問い合わせ下さい
この記事の目次
不動産業の廃業推移について
このグラフは一般財団法人 不動産適正取引推進機構「平成30年度末宅建業者と宅地建物取引士の統計について」をもとにわたしたちが独自に作成したグラフです。
このグラフは日本国内において廃業届けが出された不動産業の件数を表しています。
年間数千件もの不動産業が休廃業していることが読み取れます。
なぜ、不動産業の廃業件数はこれほどまでに多いのでしょうか。
「後継者がいないこと」が主な原因として考えられます。
不動産業界においては経営者の高齢化がとても深刻になっています。
そのため、多くの企業が事業承継を試みているのですが、実際に事業承継に成功している不動産業はごくわずかです。
以前までは息子や娘が親の会社を継ぐというのが一般的でしたが、最近ではその息子や娘も他にしたいことを見つけ、親の会社を継がないというケースも増えているようです。
特に不動産業においては多くの場合、宅地建物取引士の資格を取ることになるため、尚更負担は大きくなります。
また、個人補償をそのまま引き継ぐ訳にはいかない、ということもあり娘婿に事業を承継するということも少ないです。
そのため、親族に不動産業を承継するくらいであれば、自分の代で廃業してしまおうと決断する経営者の方が多いようです。
それでは、次は具体的に不動産業を廃業するまでの手順をご説明しますね。
なお、ここでは不動産業の廃業に関する法的書類の厳密な書き方ではなく、廃業に至るまでの大まかな流れをご紹介したいと思います。
不動産業を廃業するまでの具体的な4つの手続き
廃業手続きを取る前に、まずあなたが経営されている不動産業の資産と負債を計算してみて下さい。
会社が保有している現金や預金、備品が資産で、銀行からの借り入れなどが負債に該当します。
そして廃業手続きは
1.廃業スケジュールを綿密に立てる
2.資産と負債の整理
3.各種法的手続きを行う
4.営業保証金を取り戻す
といった4つのステップで進めていきましょう。
廃業スケジュールを綿密に立てる
急に廃業すると言っても、多くの大家さんと契約をしているはずですので、その契約を解除しなければなりません。
まず、新規の契約をストップする必要があります。
そして現在の契約している大家さんとの契約を解除します。
専属専任媒介契約、専任媒介契約については契約の有効期間が最長3ヶ月ですので、3ヶ月待てば契約が解除されることになります。
一方、一般媒介契約については、法律上、契約の有効期間に制限がないため、期限を設けていなかった場合はこちらから解除する必要があります。
このように不動産業は廃業に際してやらなければならないことが多いため、廃業する最低1年前には綿密なスケジュールを立て、廃業に向けて動き出していくことが大切です。
そして、今すぐに不動産業を手放したいという方には、廃業ではなく売却という手段がおすすめです。
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資産と負債の整理
廃業スケジュールを綿密に立てたら、次は資産と負債の整理を行います。
不動産業が保有している資産には以下のようなものが挙げられます。
・店舗用品
作業用のデスクや、接客用のソファなどがあるかと思います。
そこまで大きな価値もないので、破棄しても良いかと思います。
・店舗物件
不動産業を営んでいる物件が賃貸ではなかった場合、物件を自社で所有している場合はそちらも売却する必要があります。
・営業保証金
詳しくは後述しますが、各種協会に加入していなかった場合、法務局に1,000万円(支店がある場合は1件ごとに追加で500万円)の営業保証金を供託しているはずです。ミスなく手続きをして、取り戻す必要があります。
各種法的手続きを行う
不動産業の廃業にも、通常の会社と同様の手続きが必要です。
さらに不動産業の場合は、通常の廃業手続きに加え都道府県に廃業等届出書を出し、免許を返納する必要もあります。
宅地建物取引業保証協会または不動産保証協会に加入していた場合は、退会届を出し、退会しなければなりません。
これらの手続きを全てミスなくやらなければならないため、行政書士や司法書士といった専門家とともに進めていくことをオススメします。
営業保証金を取り戻す
宅地建物取引業保証協会または不動産保証協会に加入していない場合、法務局に1,000万円の営業保証金を供託しているはずです。
こちらは、廃業を官報(国が発行する新聞)に公告してから6ヶ月後までに債権者の申出がなかった場合に発行される証明書を法務局に提出することによって取り戻すことができます。
残余財産を分割するときまでには回収しておきたいので、廃業と同時に手続きを進めてください。
不動産業の廃業には相当の手間がかかる
ここまで、簡略化して不動産業廃業までの具体的な流れをお伝えしてきましたが、不動産業を廃業するためには相当の手間がかかります。
一般的に廃業手続きは創業手続きの数倍煩雑なのですが、大家さんとの契約を切ったり、営業保証金を取り戻したりと、不動産業の廃業手続きは群を抜いて複雑です。
そして、そのような廃業手続きが面倒に感じる方には、不動産業を売却してしまうという方法がおすすめです。
複雑な廃業手続きをするくらいであれば、会社ごと売却してしまう方が断然良いです。
「そもそも不動産業って売却できるのだろうか」「うちの不動産業は赤字だから売却できるはずがない…」と思い込んでしまっている方も中には多いかもしれません。
しかし、不動産業は売却することができますし、赤字の不動産業でもきちんとした値段で売却することができます。
廃業に比べて売却は圧倒的に楽な上金銭的なメリットも大きいです。
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